「しまったなぁ……街についてから吹っ飛ばすんだった」
「…………」
二人そろって自転車の残骸を引きずり、なんとかハナダシティに到着した。
マユカは前を行くナオトに、
「そういえばあんた、名前は?」
「答える義理はないね」
「なによー! マユカの名前知ってるくせに、自分は名乗らないわけ!?」
「わ・た・し」
「?」
ナオトは足を止め、振り返ると、
「自分で自分のこと、名前で呼ぶのやめたほうがいいよ。個人情報の垂れ流しだし、なによりバカっぽい。自分のこと『カワイイ』とでも思ってんの?」
「失礼ね! 小さい頃、雑誌のモデルに誘われたことあるのよ!?」
――つまり『カワイイ』と思ってるわけだ……
自信を持つことは悪いことではないが……
「で、評判はどうだったの?」
マユカは肩を落とし、
「……パパが許してくんなかった。『ヘンなのに目をつけられたら困る』って……」
「ま、有名人の子は、目立たないに越したことはないね」
「?」
「キミのパパの判断は正しかったと思うよ」
それだけ言うと、再び歩き出す。
なんとか粗大ゴミ置き場に到着すると、
「――ナオト君、何やってるのー?」
「ジュンサーさん」
顔を上げると、前方からバイクにまたがったジュンサーがやってきた。
ジュンサーはすぐ近くで停車すると、
「なーに、それ? まさか自転車?」
「ええ……自転車『だった』ものです」
「あはは~……まあ、色々と」
マユカは頭をかきながら、笑顔でごまかす。
ジュンサーはマユカに気づき、ナオトに目をやると、
「友達?」
「ちがいます」
即答し、自転車を捨てる。
ジュンサーはバイクから下りると、
「それはそうと、スクールは?」
「えぇと、今日は創立記念で……」
「あなたのスクールは、一年で何回創立記念日があるの? まったく、ご両親がいつも心配してるわよ?」
「それはないです」
「またそんなこと言って……あなたが素直にならないからでしょ」
腕組みをし、呆れた顔でため息をつく。
「あ、そうそう。さっきジムに行ったんだけど、お母さん達、どこかに出かけてるの? 留守だったけど」
「はい。今日は一人で留守番です」
「そう……気をつけてね。ここ最近、施設のポケモンが誘拐される事件が起こっているのよ」
「誘拐?」
ジュンサーは表情を曇らせ、
「ポケモンをたくさん置いている施設が被害に遭っているの。それでジムまで行ったのよ」
「単に、警備がザルだったんじゃないですか?」
「どこも防犯装置はしっかりついていたわ。どうやら、事前に防犯装置を止めてから犯行を行っているらしいの。だから、ハナダジムも気をつけてね」
「はあ……」
適当にうなずき――ジュンサーを見送る。
ジュンサーが去ってから、
「あんた、ナオトって言うんだ」
「……まあね」
あっさりバレてしまった。ジュンサーさんも余計なことを……
「ジムがどうって言ってたけど、ひょっとしてあんたの家ってハナダジムなの? あそこなら昔、遊びに行ったことあるけど……」
マユカはナオトの顔をジロジロ眺め――指を突きつけると、
「あー! 思い出した! あんた、ナオトね!? カントーのチャンピオンの子! いっつも顔出さないから、わかんなかったじゃない!」
「……特に用もなかったからね」
とうとう思い出したらしい。
昔、何度か家族で遊びに来ていたことがある。彼女の母は、昔、父がシンオウを旅していた頃の仲間だったらしい。
最後に会ったのは二年前だ。その時も部屋にこもってまったく話をしなかったし、写真も撮っていないので、気づかなかったのは無理もない。
「だったらなおさら、あんたの家行かなきゃ。あんたのパパにちょっと用があるのよ」
「パパなら今朝、ママと一緒にマサラタウンに帰ったよ。最近はめずらしくウチにいたのに、キミもタイミング悪かったね。電話番号教えるから、それでいいでしょ?」
「本人に直接聞きたいの。いつ帰ってくる?」
食い下がるマユカに、ナオトは怪訝な顔をしたが、
「明日帰ってくるって言ってたけど……これまでのパターンを考えると、そのままどっか行っちゃうかもね」
「どっかって、どこよ?」
「知らないよそんなの。第一あの人、家にいないことのほうが多いんだ。いるかどうかもわからない人に会いに来るなんて、キミもバカだね」
「バカとはなによ失礼ね! マユカにとっては重要なの!」
「どれだけ重要なのかは知らないけど」
ナオトはマユカの言葉をさえぎると、
「これでウチに来たって意味ないってわかったでしょ? だからよそ行って。だから来ないで。だからついてくるな。どうでもいいからあっち行け」
「もー、機嫌直してよー」
「ボールぶつけられた上、自転車までぶっ壊されて機嫌良く出来るわけないだろ!」
「だからマユカの自転車も壊したじゃない」
「その行動が意味不明なんだよ! 僕の自転車が復活するわけじゃあるまいし! 買ってくれた両親に悪いとか思わないわけ!?」
「おお……!」
怒り狂うナオトに、なぜかマユカは感動したような顔で、
「あんた、ひょっとしていいヤツ?」
「『ひょっとして』ってなんだよ『ひょっとして』って! ていうか、反応するのそこ!?」
「うん! パパが『目の付け所が他とはちがう』ってよくほめてくれる!」
「ほめてない! 僕は断じてほめてないから!」
ダメだこいつ。
彼女の父のことはテレビや雑誌でよく知っている。ポケモンの育て方は見事なようだが、娘の育て方は色々間違えたようだ。
さっさと帰ろうと早足で歩くが、マユカはさも当然とばかりにこちらの後ろについてくると、
「そういえば、あんたのパパもリザードン持ってたわよね? てことは、そのリザードも?」
「ちがう。パパのリザードンとはまったく無縁。オーキド博士に頼まれて、仕方なく僕がもらうことになったんだよ」
「仕方なく?」
「気むずかしくてね。もらうはずだった子が女の子で、手に負えそうになかったから、僕がもらうはずだったゼニガメと交換したんだ」
「へ~……でも、その気むずかしいヒトカゲを、ちゃんとリザードまで育ててるじゃない。その辺はさっすがチャンピオンの子ね!」
その言葉に――ナオトの足が、止まった。
「チャンピオンチャンピオンって……パパはパパで、僕は僕だ。関係ないよ。ていうか、どこまでついてくる気?」
にらみつけると、マユカは驚いた顔で、
「え? いーじゃん別に。せっかく会ったんだし話くらいしたって。どうせヒマなんでしょ?」
「勝手にヒマだって決めないでよ。今日、ジムには僕一人しかいないんだ。ポケモンの世話で忙しいんだよ」
「サボってたくせに……」
「休憩してたんだよ!」
マユカは何か思いついたのか、指を立て、
「じゃあジム戦! ハナダジムに挑戦する!」
「なにがなんでも絡みたいわけ? バトルならさっきやったし」
「さっきのはあいさつ代わり! 今度はちゃんとしたジム戦の申し込みよ! ジムリーダーは、挑戦を受けるのが仕事でしょ?」
「誰がジムリーダーだよ! 確かにウチはポケモンジムだけど、そんなの僕には関係ない。そもそも、トレーナーじゃないし」
「はぁ?」
首を傾げるマユカに、さっさと背を向けると、
「もういいだろ? どっか行ってよ」
「じゃ、ポケモンの世話の手伝いしよっか?」
「結構です!」
なにがなんでも絡もうとするマユカに、力一杯拒絶の返事をすると、脇目もふらずに走り出した。
「まったく、今日は疲れた……」
裏口から家の中に入ると、ドアに鍵を掛け、ジムへ向かう。
水タイプ専門のジムなだけに、巨大な水槽の中で水ポケモンがいつも泳いでいるのだが、出かける前に全員モンスターボールに戻しておいた。まずポケモン達を水槽に出し、健康チェックをして、それから――
そんなことを考えながらボール保管庫のドアを開け、明かりをつけると、
「あっ」
『あっ』
中に、中年の男女二人組がいた。
全身黒ずくめで、一応、ほっかむりで顔と頭を隠している。しかし、体型で性別は丸わかりだし、女に至っては目立つ金髪がはみ出している。
そして、ボールストッカーに置かれていたたはずのモンスターボールは、今、二人組の足下の大きなバッグに詰められていた。
ナオトはとりあえず、
「……どちらさまですか?」
聞いてみた。すると、二人は突然ほっかむりを脱ぎ捨て、
「――『どちらさまですか』と聞かれたら!」
「答えないのが普通だが!」
そして声をそろえて、
『まあ特別に答えてやろう!』
――バタンッ!
ナオトは速やかに扉を閉めた。
鍵を掛けると、内側から慌てた様子で、
『あっ! ちょっとあんた! 答えてやるって言ってるでしょ!』
「ちょっと待っててください。今、警察呼びますから」
『待て待て待て! 話し合おう! 話せばわかる!』
「勝手に人んちに上がり込んでる不審者と、なにをどう話し合えってんだよ……」
つぶやき、携帯電話を取り出す。
不審者に遭遇した時の正しい対処法を実行しようとしたその時、
『――私達はねぇ! あんたの両親に恨みがあんのよ!』
「……恨み?」
その言葉に、番号を押す手を止める。
『ずいぶん昔ではあるけどね、真面目にコツコツ働いていた私達を陥れ……おかげでボス、じゃない、上司の評価はガタ落ちよ!』
『そうそう。思えばあれからだよなぁ。俺達の転落は』
二人は、涙を誘う声で、
『会社をクビになった俺達は職を転々とし……でもうまく行かず。気がつけばこの年にもなって、こんなこそ泥みたいなことを……』
『ええ、ええ。どこで間違えちゃったのかしらねぇ……エリートだったはずの私達が、いつの間にこんな……』
――知らないよそんなの。
理由はどうあれ犯罪は犯罪。無視して、警察に通報しようとし――
ぱっ、と、ひらめいた。
携帯電話をポケットにしまうと、扉越しに、
「……おばさん達、どうせならもっといいポケモン、欲しくないですか?」
このささやきに、ほどなく二人組は乗ってきた。
乗るしかなかった。
ジムのすぐ近くの林の中、コサブロウは黒い車にかぶせた迷彩柄の布を取りながら、
「なんだかおかしなことになったよなぁ……」
「あの状況じゃ仕方ないじゃない。警察呼ばれちゃまずいでしょ」
「なにごちゃごちゃ言ってるんです。さっさと車を出してください。燃やされたいんですか?」
「さらっと恐ろしいこと言うな! まったく最近の子供は……」
「ホラ、さっさと乗る!」
ヤマトは後部座席のドアを開け、ナオトを乱暴に押し込むと、自分達も車に乗り込む。
結局ジムのポケモンを盗むことはあきらめ、ナオトの案――チャンピオンのポケモンに標的を変更した。
そうしなければ警察を呼ばれてしまう以上、乗るしかなかったのだが、
「それにしても、むちゃくちゃだよなぁ……」
「あんた、自分のパパでしょ。いいの?」
念のため聞いてみると、オナトはシートベルトを装着しながら、
「かまやしませんよ。ポケモンにうつつを抜かして、家のことほったらかしにしてるような人です。一回、痛い目に遭えばいいんです」
素っ気ない返事に、コサブロウは呆れた顔で、
「なんつーガキだ。まったく親の顔が……見たことあるな」
「自分の親を試そうってことじゃない? とにかく適当に言いくるめて、スキを見て逃げるのよ!」
「おう!」
二人はヒソヒソささやき合うと、車のエンジンを掛けた。
* * *
「あれー? 戻ってきちゃった」
ポケモンセンターに向かうはずが、同じ道に出てしまった。
マユカは地図をにらみつけ、
「この地図、どうなってんのよ……東とか西じゃなくて、右か左で説明してよ」
「ナエエ。ナエナーエ?」
足下のナエトルに目をやると、「あれはなんだ?」といった顔で、大きな建物を見ていた。ドーム型の建物で、水ポケモンの看板が掛けられている。
「ああ、あれがハナダジムだよ。そうだ。ナオトに道聞きに行こっか」
さっきの今で追い返される可能性はあるが、他に道が聞けそうな人がいない。
ナエトルと共にジムへ向かうと、途中の林の中、一台の黒い車が停まっていることに気づく。
ただ停まっているだけなら気にも留めないが、なぜか茂みの中、迷彩柄の布でカムフラージュしてあった。
そしてその布を、二人の男女が取り除いている。
「なにあの人達……」
見るからに怪しい。
気づかれないよう近づくと、二人組とは別に、もう一人、少年がいた。
「あれは……ナオト!?」
なにか口論しているように見えたが、内容までは聞こえない。ナオトは女に突き飛ばされ、車の後部座席に押し込まれる。
マユカは確信した。
誘拐だ。
「ど、どうしよう……」
周囲を見渡すが、誰もいない。
――なにかあったら警察に――
「そ、そうだ! 警察!」
父の言葉を思い出し、これまで切っていた携帯電話の電源を入れると、急いで警察に掛ける。
「あっ、あの! 怪しい人が――」
『――午後、三時、三十分、ちょうどを、お知らせします』
――ピッ、ピッ、ピッ、ポ~ン……
「……すいません。まちがえました……」
時報の自動アナウンスに謝罪し、通話を切る。
そうこうしている間に車のエンジンが掛かる。もう、迷っているヒマはない。
「マ、マユカだって、もう子供じゃないもん……」
マユカはナエトルを抱えると、車の後ろに忍びより、トランクの中に滑り込んだ。
* * *
三人(プラス一人)が乗った車が発進した頃。
「――動いたか」
ハナダシティのポケモンセンターに張り込んでいた一台の青い車が、急発進した。
* * *
「それにしても、よく忍び込めましたね。警報装置をどう突破したんです?」
窓や入り口を強引にこじ開ければ、警報装置が作動し、すぐ警備会社に通報される。
しかし、コサブロウは驚いた顔で、
「はあ? 何もなかったぞ」
「そうそう。壊れてるんじゃないの? ちゃんと点検しときなさいよ」
「そんなはずは……」
警報装置の点検は、一週間前に業者に見てもらったばかりだ。作動しなかったのが事実なら、すぐ確認すべきだが……どちらにせよ、帰ってからだ。
車はしばらく町中を走っていたが、次第に建物は少なくなっていく。
出発して三十分ほど経っただろうか。
「着いたぞ」
車は、町はずれの岬にある、小さな一軒家に到着した。一階建てで『売り物件』と書かれた不動産屋の看板が目立つ場所に掛けられていた。
車を裏の駐車場に停め、開きっぱなしの裏口から中に入ると、
「……まったく、あきれた」
中を見るなり、ナオトはため息をついた。
空き家に勝手に住み着いているらしい。当然水道も電気も通っていないので、水や食料と共に、カセットコンロまで持ち込まれている。
「まともに働いて、人並みの生活をしようと思わないんですか? 立派なホームレスじゃないですか」
「ほっとけ!」
「今さら言われるまでもないわよ!」
二人は怒鳴りながらも、なんだか泣きそうな顔をした。
ナオトは携帯電話を取り出し、
「とりあえず、脅迫電話でも掛けてみましょうか」
「ホントにやるのか? 思い直すなら今のうちだぞ?」
「怖じ気づいたんですか? コサンジさん」
「コサブロウだ!」
「確かに私達は悪党だけど、さすがに子供を人質に取るのはまずいというか……」
止めようとする二人を無視し、通話ボタンを押そうとした瞬間、
――ドンドン。
玄関を叩く音がした。
「な、なに?」
「侵入者か!?」
「侵入者はドア叩かないと思います」
この場合、侵入者は自分達だ。そして、ドアを叩く力はどんどん強くなっていく。
「ど、どうする? もしや不動産屋にバレた!?」
「とにかく逃げるわよ!」
ヤマトに肩をつかまれるが、その時、ナオトの脳裏に、期待にも似た可能性がよぎる。
「ひょっとして……パパ?」
『ええ!?』
――バキャッ!
しびれを切らしたのか、玄関のドアが破壊される音が響いた。もともと広くない建物だ。乱暴な足音が、こちらの部屋に向かってくるのが聞こえる。
「ちょちょ、ちょっと! チャンピオンが乗り込んでくるなんて聞いてないわよ!?」
「こ、こっちにも心の準備というものが――」
ヤマトとコサブロウは慌てふためくが、そうこうしているうちに、バーン! と、勢いよくドアが蹴り開けられた。
現れたのは、目つきの悪い知らないおっさんだった。
『誰!?』
思わず声をハモらせてしまった。少なくとも不動産屋ではない。むしろヤクザやそっち系の人に見える。
しかし、男は自分達のことなど眼中にないらしく、室内をぐるりと見回し、
「――マユカ! どこだ!?」
「へっ?」
男は、手近にいたコサブロウの胸ぐらをつかみ、
「おい、マユカはどこだ!? 隠し立てするとタダでは済まさんぞ!」
「え? ちょっ……」
コサブロウは混乱しつつも、刺激しないようなるべく落ち着いた声で、
「ええと、場所をお間違えでは?」
「ならばなぜ、マユカのGPSがここを指している!?」
突き出した携帯電話の画面には、赤い点を中心に、この周辺のマップが表示されていた。
――あれ? この人……
知らない人だと思ったが、昔、会ったことがある。それにテレビでも……
「ひょっとして……シンジさん? シンオウチャンピオンの」
『え?』
二人は顔を見合わせ、まじまじと男の顔を眺め――
「そうだわ! なんか見たことあると思ったら!」
「どっちにしてもチャンピオンじゃないか!」
「昔のことなどどうでもいい! マユカを出せ!」
「すすす、すいません! でもホントに知らないんですぅぅぅぅ!」
さらに締め上げられ、コサブロウは涙目になってあやまる。
シンジはコサブロウを解放すると、今度はナオトをにらみつけ、
「で、なんだお前は?」
「へっ?」
矛先が突然自分に向き、ナオトは思わずすくみ上がった。
シンジはナオトの顔をジロジロ眺め、
「お前、サトシの……何やってるんだこんなところで」
「え、えーと、その……」
まずい。
あの二人がなにか言う前に手を打たねばならない。
そして、ナオトは迷うことなく、
「――助けてください! 僕、あの人達に無理矢理連れてこられたんです!」
『んえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
二人が同時に絶叫したが、たたみかけるように、
「僕を人質に、パパのポケモンを奪うつもりです! とんでもない悪党です!」
「ままま、待て待て!」
「ちょっとあんた! 裏切るつもり!?」
二人は顔面蒼白で怒鳴るが、シンジはこちらと二人を見比べ、
「なんだかよくわからんが……リングマ!」
「――グマッ」
部屋に、リングマがのっそり入ってきた。玄関を壊したのもこのリングマだろう。
シンジは二人を指さし、
「とりあえず『はかいこうせん』!」
「グマーーーーーーーーーーッ!」
――ズドンッ!
問答無用で発射された『はかいこうせん』は二人の足下に直撃し、床を、壁を破壊。爆風をまき散らす。
「『とりあえず』で人を吹き飛ばすなー!」
「こんなことなら、ジムのポケモンだけもらっとくんだった~!」
二人は空を舞い、そして声をそろえて、
『ヤな気持ちぃ~!』
星となって、消えた。